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[コブシメの採餌形態(腕・触腕)の機能的意義]
コブシメは主に触腕と腕を用いて餌をとります。2本の長い触腕を伸ばして餌をキャッチし、その後8本の腕で抱え込みます。本研究では、コブシメの触腕・腕の形態がどのように採餌に適しているのかを調べています。吸盤の吸着メカニズム、腕の伸縮メカニズムなどを生態と照らし合わせながら明らかにしていきます。

[コブシメの交接腕の機能的意義]
コブシメのオスは交接の際、交接腕とよばれる腕で精莢(精子の入ったカプセル)の束を掴み、メスに渡します。しかし、その形態や使い方にはまだ不明な点が多いです。本研究では、コブシメの交接腕が本当に「精莢をつかむための形態」となっているかを、解剖や観察を主とした様々な手法を用いて調べています。

過去の研究
[コウイカ科の外套膜形態と運動様式との関係]
多くのイカは遊泳を行います。しかし、コウイカの仲間であるハナイカは隆起した外套膜(ambulatory flap)と腕により海底を歩くこと(ambling)が知られています。そこで、コウイカ科にとって遊泳・歩行に適した形とはどのようなものかを、運動の主部となる外套膜に着目して比較解剖学的に調べました。
・水中で運動するための「形」
[水圏動物の筋骨格形態と運動様式・水陸環境との関係]
水中には、陸上とは全く違う世界が広がっています。水中で運動するための形とはどのようなものかを明らかにするために、干潟性ハゼ類・イモリやサンショウウオ等の水棲~半水棲の生物を用い、運動に用いる筋骨格の形態と生息環境との関係を調べました。この研究は、1億6000万年前に脊椎動物が水中から陸上へと進出した進化史を検証する基盤にもなります。
・貝の「形」
[アサリの摂餌生態と消化吸収機構]
アサリが餌をどのように消化しているのかの研究です。解剖して消化器官を観察し、その形から機能を推定するともに、飼育実験を組み合わせ、消化吸収機構の一端を調べました。この飼育実験では、さまざまな餌(珪藻)を給餌し、ひたすら糞を採集して消化率を調べていました。48時間連続で、1時間おきに糞を採取しました。そして採集した多くの糞を細かく観察しました。(ちなみに英語では学問的にこれをscatologyと呼びます・・・)。



[キサゴの摂餌選択制について]
一般に巻貝は「歯舌(しぜつ)」という歯のような器官を用いて餌を食べます。一方、二枚貝は鰓で海水中の餌をろ過して食べます。しかし巻貝であるキサゴは、巻貝の特徴である歯舌を持ちながら、二枚貝のように鰓で餌をろ過して食べていることも知られています。そこで、キサゴは歯舌と鰓をどのように使用して、どのような餌を食べているのかを明らかにするために、餌の大きさと、歯舌・鰓の形態との対応を調べました。
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